SAKURAJIMA

桜島。
よく見かける晴れ渡る観光写真の桜島も素晴らしい。

だけど、自分にとっては日が暮れるまえの
この景色こそが、桜島らしい。

桜島を、親に例える人、神様に例える人もいる。

県外で暮らす同世代の仲間たちはみんな、

帰るとまず桜島を見て、やっと故郷を実感する。
「これよ、これ!」みんな桜島が大好きだ。

鹿児島で育ったものにとって桜島はきっと

魂に直結している。とてつもなく大きな存在。


問いかけたところで何も応えてはくれないけれど。
弱気になっているときは険しく見える。
「しっかいせんか!」
叱られている気持ちになる。

何か良い兆しや出来事を報告すると
「よしっ!そんまま行かんか!」
と、ドンと背中を押される。

ここは、鹿児島市東谷山。

俺が育った街の、秘密基地的な防波堤。


ガキの頃から、落ちこんではここに座って海を眺め

ときには夢を膨らませたりした場所。

社会に出て鹿児島を離れてからは
帰るたびに必ずここに足を運んだ。

幼いときに父を亡くした俺にとって
人生のどんなこともぶちまけ、受けとめてくれた。

いつからか桜島は、親父そのものだった。


そんな想いを唄にしたいと思い立って。

2016年。活動拠点にしていた熊本を離れ
すぐに地元に拠点を移した。

それから、毎日。この場所に通った。
すぐそばには新しく出来たベイブリッジがある。
その頂から、唄を書かせてくださいと
頼みこんだ。

そんなことを数ヶ月続けたある真夏の日。
ちょうどこの写真みたいに、嵐が来るまえの
空が荒れた日の夕方。
風がびゅうびゅう吹いていて。たまに小雨も打ちつけた。

いつものように桜島を見つめていると

突如、唄が聴こえてきた。来た!


最初はサビになったメロディ。
次に唄いだしのところ。続々と舞い降りて
身震いがとまらなかった。

日も暮れきって橋の上で叫ぶように唄った。


『桜島讃美』

結果としてたしかに自分がつくったのだけど

桜島に生かされ、授けてもらった曲だと思う。


生涯、この曲は自分の柱になるだろう。

桜島、ありがとう。
生きる力をくれる。

桜島、我が父よ、永遠に。

Photographes by MATSUSHITA AKIKO.2019